産後の体について

- update更新日 : 2022年10月19日
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「出産したら妊娠前の身体に戻る」と思っている女性は多いようですが実際には「妊婦」の身体から「授乳婦」の身体に変わるのであってすぐに戻る訳ではありません。

日本では産院での検診は1カ月検診で終わってしまい、その後の産後のケアは自分で考えてやっていかなければなりません。

その為育児などの忙しさから、少しくらい身体に不調があっても放置してしまう産後ママさんま多くいます。

産後は不調があろうとなかろうと、帝王切開だろうと骨盤ケアは絶対するべきだと私は思っています。

40週間負担をかけ続け、出産で普通以上に開かれた骨盤は相当なダメージを受けています。

更に産後はそのダメージが回復しきらない状態で育児などにおわれる訳ですから、身体がいい回復をする事は非常に難しいです。

ここからは産後の身体の変化などについて書いていきます。

子宮

子宮は出産後は出血を抑えるためまず強く収縮してその後は一時的に弛緩してまた収縮、弛緩を繰り返しながら2ヵ月ほどで回復していきます。

経産婦ほど子宮の回復は時間がかかります。

悪露は子宮が弛緩、収縮をくりかえしながら縮小していくため出たり止まったりしながら2ヵ月くらいで終了する事が多いようです。

会陰裂傷がある場合は縫合後3日~5日で修復され、裂傷の状態にはよりますが痛みは約一週間程でおさまり、裂傷の回復は約三週間かかります。

膣は出産直後は弛緩していますが約四週間くらいで復古します。

膣は妊娠前状態よりは伸展性のある状態に変わります。

普通分娩ほどではないですが帝王切開でも膣は伸展性のある状態になります。

 

骨盤

出産後は骨盤を筋肉で保持できないため歩行や長時間の立位で恥骨や股関節に痛み訴える方も多くいます。

骨盤底筋群は普通分娩、帝王切開に関わらず妊娠中の負担が産後にも持続し3ヵ月~6ヵ月かけて回復しています。

もともと筋力が弱い方は回復に時間がかかります。

骨盤底筋群が弱く骨盤底が開き気味だと子宮、膣が下がってしまう事があります。

分娩時に尾骨が後方に押されるため仙骨が前傾した状態になり、座ると尾骨が当たりやすくなり痛みをだす場合があります。

分娩時に骨盤の関節が開かれるため腰痛や歩行困難の原因になる事もあります。

3ヵ月くらいかけて徐々に回復はしていきますが、元々の筋力が弱かったり歪み、緩みが強かったりすると回復に時間がかかります。

 

体重

出産後2ヵ月から3ヵ月で体重は戻る事が多いと言われてます。

授乳により1日600~1000mlの乳汁を排出し約600kcalのエネルギーを放出しています。

そういった事から母乳育児の方が体重減少率は大きくなります。

 

産後によくあるトラブル

腰痛、恥骨痛、尾骨痛やその他の痛みなどが産後は多くみられます。妊娠中から出産にかけて骨盤周囲の筋肉が弛緩する為です。

骨盤が緩くなり腹横筋、横隔膜、骨盤底筋、多裂筋などのインナーマッスルが緩んで負担がかかっている為、全身の筋肉がうまく働かず腰痛、股関節痛がでやすくなります。

恥骨がゆるく骨盤も歪みがあるため、恥骨に偏ったテンションがかかりやすく恥骨痛もでやすくなります。

出産時に尾骨は後方に押し込まれるため、座った時に尾骨が座面に当たりやすく尾骨痛がでる事もあります。

骨盤が緩く不安定な為歩行が困難になる事もあります。

骨盤底が緩く内臓が下がる為、尿もれ、子宮脱など内臓的な不調がでる事もあります。

 

尿もれ・脱肛

分娩前後で弛緩したり出産で損傷を受けたりすると尿もれ、脱肛などのトラブルを起こしやすくなります。

出産直後はほとんどの方が排尿、排便困難になりますが、たいがいは2週間以内に軽快すると言われています。

尿もれ、便失禁は産後の回復過程に伴って徐々に回復はするが、骨盤底筋のトレーニングが有効であると言われています。

 

体重・体型が、戻らない

この悩みを訴えて当院にご来院される方も多くいます。

特にお腹が戻らないと訴える方が多く、腹直筋離開や骨盤底筋の低下などが、考えられますので筋力を鍛えながらゆっくりシェイプアップしていくよう指導しています。

母乳分泌では1日に約500kcalほど消費できると言われています。

授乳婦では通常摂取エネルギー+350kcalが必要量としています。カロリー過多に注意しながら栄養をしっかり摂取して産後の身体の回復に合わせた適切なトレーニングをする事が望ましいです。